市販できる製品を作り上げるには、構想設計をしなければなりません。
まず、構想設計するときの手順と考え方を理解しましょう。
スマートに製品を作り上げるには、十分な準備が必要です。
ステップ 1
○製品の使用目的、使用環境を洗い出してみる。
例えば・・・・・
- この製品は具体的にどのように使われるのか?(機能面)
- どこにどのくらいの力が、かかるのか?(耐応強度)
- 直射日光が当たるか?(耐候性能)
- どのくらいの範囲の温度(気温)で使用されるか?(耐熱性)
- 製品の重さはどれくらいが最適か?(自重)
- どんな所に製品を売り込みたいか?(意匠、セールスポイント)
- どんな色で作りたいか?(カラーリング)
- 環境にやさしいか?(リサイクル性能)
など、考えられることをできるだけたくさん洗い出しましょう。
ステップ 2
○製品スペックを考えてみる。
使用目的、使用環境が決まったらそれをもとに箇条書きで書き出します。
これが仕様書(スペック)になります。
ステップ 3
○製品の材料(マテリアル)を想像してみましょう。
製品スペックを見ながらどのマテリアルが最適かいくつか候補を決めます。
鉄・プラスチック・ゴム・木 etc...
ステップ 4
○目標販売価格を予想しましょう。
今回の企画の製品はいくらなら売れるかを考えます。
(製品を作る費用は製品スペックとマテリアルが決まると概算価格が予想できます。)
ステップ 5
○どれくらいの個数が売れるか、どこで売れるかの目標を立てましょう。
もし目標生産個数が決まっている場合、全て売り切る販売環境があるか検討します。
また、販売個数が予測できるとそれにかける開発費なども検討できます。
逆に販売環境が決まっている場合は無理なく販売できる数量にしてください。
(ただし採算の取れる範囲で・・・)
ここまででおおよその構想が見えてきたのではないでしょうか?
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構想設計で概略が固まれば、次は市販化するための技術的な検討をします。
○構想設計を3次元データ化します。
○製造方法
どんな製造方法で製品化するか?
検討要素
- 機能面
- 対応強度
- 耐候性能
- 耐熱性
- 重量 等々・・・
例えば、プラスチックなら・・・
切削加工・注型成形・インジェクション成形
回転成形・真空成形・トランスファー成形 等々
○性能面、機能面の再検討。
本当に想像した性能、機能で大丈夫か?
また、製造方法とマッチしているか?
○製造マクロコストと償却を考えてみます。
市販化に伴い生じてくるコストを洗い出します。
- 開発費
- パテント取得費
- 金型費
- パッケージング費
- 輸送費
- 納入費
- 販売管理費
- 印税 etc...
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試作をして実物大での性能や質感を評価します。
実際に形にして触ってみると図面ではわからなかったことがわかったり、新しい発想につながったりします。
○製品マテリアル決定
現実に使用したい素材(マテリアル)を想像してそれに合わせた試作品作りをします。
○製作個数決定
性能評価や製品サンプル或いは販促用モデルとして何個必要なのかを決定します。
○試作工法検討
- 光造形によるモデル
- 紛帯造形によるモデル
- 真空成形による成形モデル
- 切削モデル
- 真空注型による成形モデル
- ZAS型によるインジェクションモデル
- 試作金型によるインジェクションモデル etc...
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○試作時の性能評価の結果
試作品での性能評価や市場評価、マーケティングなどを踏まえて
構想設計で使用した仕様書をより細かく掘り下げ図面に織り込みます。
○試作時の質感評価の結果
実際に製品を試作してみてから分かる重量感や表面の質感、
カラーなどを細部に渡り検証して詳細を図面に織り込みます。
○マテリアルの決定
試作時の質感や機能面を踏まえて最終的なマテリアルの決定をします。
製造方法や製品設計の種類によっては後日、マテリアルを変更出来る場合もあります。
○最終的な仕様決定
上記の内容を納得いくまで吟味して最終的な仕様を絞り込み量産に向けての「仕様書」を練り上げます。
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金型の仕様を決定する為に以下の情報が必要です。
○成形機仕様(金型移管の場合。)
成形機メーカー名、機種、取り付けプレートサイズ、デーライト寸法、
温調方向(方式)、カプラ−仕様、ノズルR等
○製品取り数(多数個取りの場合)
1型内に何個の製品を取れるようにするか。(1〜何10個も取れるものもあります)
○ゲート方式
ダイレクトゲート、サブマリンゲート、フィルムゲート、サイドゲート、ピンゲート
○ランナー方式
コールドランナー、ホットランナー、丸ランナー、台形ランナー
○金型材質
製品の仕様で硬度を考えて選択します。(生材系、焼入れ系、調質系、SUS系)
○イジェクト方式
製品を金型からどのように離型させたいかや、
周辺機器(ロボットなど)の条件で変わります。
丸ピン、角ピン、段付きピン、ストリッパー、ロックピン、スリーブピン
○ロボット等、周辺環境の情報
周辺機器に応じてカスタマイズして生産効率の高い金型を製作できます。
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○製品の限度レベルの確定
実際の量産化に向けて製品の良否判定をする基準を設けます。
限度サンプル、品質保証基準書、検査ルールフロー、検査作業指示書、出荷票(現品票)
○製作個数の確定
販売個数や市場動向を予測して生産個数をはじき出します。
発注から生産、出荷までのリードタイムを織り込んで商機を逃さないギリギリの選択をします。
○納期の確定
生産個数には生産能力に限界がある為、納期は製品の発注後に回答する場合が殆どです。(受注生産)
○送付先の確定
発注と同時に発送先の確定が必須となります。
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